筋力トレーニングにおいて、各部位の筋力をアップさせるためのトレーニングと同じくらい重要なのがトレーニング後の栄養補給です。
激しい負荷によって損傷した筋肉組織は適切な栄養を補給することで効率的に回復し、筋力の向上や筋肉量の増加が見込めます。
しかし食事だけで必要な栄養素を摂取するのは困難な場合があるので、サプリメントの利用が有効だといえるでしょう。

ここでは筋力アップと密接な関係にあるアミノ酸の中から「グルタミン」にスポットを当てて解説していきます。

そもそもグルタミンとは?

グルタミンは人間の体内に最も多く含有されるアミノ酸です。その割合は人間の骨格筋に貯蔵される遊離アミノ酸のおよそ61%以上を占めるとされています。
そしてグルタミンは約19%の窒素を含み、筋肉細胞に窒素を運搬する役割も担っています。

グルタミンは1883年、サトウダイコンの搾りかすから発見されたといわれています。当時はその特徴や働きについてほとんど解明されていませんでした。

やがて1980年代になると研究が進み、グルタミンは消化管、とりわけ腸管のエネルギー源になりやすいことが明らかになりました。
現在ではさらにグルタミンの解明は進み、さまざまな効能を持っていることがわかっています。

体内で合成できるという特性を持つグルタミンは非必須アミノ酸に分類されますが、病気や外傷がある場合などの特定条件下では必須となるため、準必須アミノ酸という位置づけになります。
体内で合成できるといっても、ハードなトレーニングや運動のあとは体内のグルタミンの量が大幅に減少しますから、体外からの摂取をおこなわなければ、パワーやスタミナ、筋肉などの回復に影響を与えてしまうでしょう。

効果的な回復を望むなら、トレーニング後は意識的にグルタミンを摂取するほうが賢明です。
ただしグルタミンは小麦粉や大豆や海藻類、肉や魚や卵といった食品に多く含まれているものの、加熱によって変性を起こすため、効率よく摂取するには食材を生で食べなければいけません。
こうした特徴を持つグルタミンを食事だけで十分に補給することは難しい場合も多いでしょうから、場合によってはサプリメントを活用するとよいでしょう。

グルタミンの効果とは?

グルタミンには筋肉を強化し、筋肉疲労の回復を助ける効果があります。
また体内のタンパク質の分解を抑制するという効果もあるため、筋肉の状態を維持しつつ筋力強化や筋肉量増加などをサポートしてくれます。

さらにグルタミンには成長ホルモンの分泌を促進する働きもあり、体脂肪の分解及び新たな筋肉の成長を補助するといった効果も期待できるでしょう。
このような性質は、筋肉量を増やしながら体脂肪を落としたいと考えている方々に適しているのではないでしょうか。

そしてグルタミンには、インスリンの分泌を促すことなくグルコースへと変換されるという特徴もありますから、腸のように細胞分裂が短時間でおこなわれる器官のエネルギー源となりやすいのです。
腸内環境が整えば基礎代謝や解毒作用の向上が望めるので、日々の健康維持にも繋がります。

グルタミンは免疫力にも関係し、ウイルスや細菌などの異物から肉体を保護する免疫機能を高める効果を持っています。
それゆえ風邪などの感染症、アレルギー症状などの予防・緩和が期待できるでしょう。
特に激しいトレーニング後や体調不良時は免疫力が低下しますから、グルタミンの補給が大切になります。

加えてグルタミンは細胞の柔軟性を保ち、エネルギー代謝や窒素代謝にも関与するため、潰瘍の回復を早めるといわれています。
それからそうした特性は認知症の予防に繋がる可能性もあるでしょう。
他には病気や外傷などで筋肉に萎縮が見られるケースでは、筋肉の合成を促す働きも認められています。

グルタミンの摂取量・摂取タイミングは?

習慣的にトレーニングや運動をおこなっている方であれば、1回当たり5グラム程度、1日で10~15グラム程度の摂取が目安となります。
ただし人それぞれ性別や体格、筋肉量などに違いがあるため、個人で調整していくとよいでしょう。

体重が軽く筋肉量も少ない女性は1回3グラム程度、体重が重くて筋肉量の多い男性なら1回10グラム程度の摂取が適切な場合も考えられます。
また負荷の大きな筋力トレーニングや消耗の激しい運動などをしたあとは、通常よりもいくらか多めに摂取してもよいでしょう。

グルタミンを摂取する理想的なタイミングは起床後、就寝前、トレーニング直後だとされています。
起床したあとは胃が空になっていることが多いので、グルタミンが腸に届きやすくなります。
その結果としてスムーズに食事の栄養を吸収でき、筋肉の疲労回復や筋力向上が効果的におこなわれるのです。

それから就寝前の補給はグルタミンの疲労回復効果を最大限に引き出すことができます。
筋肉組織が疲労・損傷しているトレーニング直後の摂取が重要なのは言うまでもありません。

注意すべきはトレーニング前のグルタミンの摂取です。
書籍やサイトなどによってはトレーニング前の摂取が有効だと記述されているものの、一方で否定的な意見も見られます。

トレーニングをおこなうことで体内では有害な疲労物質であるアンモニアが発生してしまうのですが、通常の量であれば尿とともに体外に排出されます。
しかしアンモニアはグルタミンの摂取によっても増加するとされており、トレーニングとグルタミン摂取が重なると体内のアンモニア量が急激に増えてしまうため、問題があるのではないかと考えられています。

プロテインとの相性はどうなの?

グルタミンサプリメントとプロテインの相性は非常に良いといえるでしょう。理由の1つは吸収までの時間の違いです。
アミノ酸であるグルタミンのサプリメントは、プロテインと違って消化する過程が省略されるため、素早く体内に吸収されます。
摂取してから筋肉組織に届くまでの時間はおよそ15~20分とされています。

それに対しプロテインは体内で消化されてから吸収がおこなわれるので、吸収の早いホエイプロテインでも筋肉組織に届くまで30分から1時間ほどかかるでしょう。
グルタミンサプリメントとプロテインを併用すれば、吸収までの時間の違いを利用して筋肉組織に栄養成分を途切れることなく長時間行き渡らせることができるので、筋肉のスムーズな修復が可能となります。

またグルタミンサプリメントの独特な味と香りが苦手だという方は、プロテインと混ぜることで比較的飲みやすくなるでしょう。
味つけされていないパウダー状のグルタミンサプリメントであれば、どんなプロテインとも混ぜやすくなります。

さらに激しいトレーニングや運動をおこなったあとは疲労が蓄積し、内臓の機能も低下しがちです。
そのため体質的に胃腸が弱い方は、トレーニング後にプロテインを飲むと下痢を起こし、せっかくの栄養成分を充分に吸収できないという状況もありえるでしょう。

しかし腸内環境を整える効果を持つグルタミンを摂取しておけば、内臓機能の低下をある程度抑えることができますから、プロテインを飲んでも下痢を起こしにくくなります。

(参考:プロテイン摂取の効果とは?摂るタイミングはいつが良い?

まとめ

筋力強化や疲労回復効果が見込めるグルタミンは、筋力トレーニングにおいて重要だといえます。
トレーニングをより効果的なものにしたいと考えている方は、グルタミンの摂取を試してみてはいかがでしょうか。
サプリメントのグルタミンであれば摂取も簡単ですし、疲労で食欲が低下しているであろうトレーニング直後でも補給しやすいため、効果的です。

しかしいくらグルタミンの効能を実感したいからといっても、誤った用法や用量で摂取するのは危険です。
グルタミンの効能が上手く発揮されなかったり、逆効果になってしまったり、体質によっては副作用を引き起こしたりする可能性もあるでしょう。
グルタミンは副作用の危険性が低い成分だとされているものの、過剰な量の摂取は避けたほうが無難です。

またグルタミンの疲労回復効果や腸内環境を整える効果は、普段あまり筋力トレーニングをおこなわないような方々にも有効に作用するでしょう。
疲労の蓄積が軽減されれば気力や体力が充実して日々の健康も増進されるでしょうし、腸内環境が良化することでダイエット効果なども期待できるでしょう。
さらに免疫機能も向上するので風邪の予防などにも役立ちます。
ただし筋力トレーニングをおこなっていない方々がグルタミンを摂取する場合は、前述した摂取量だと過剰になることがあるため、1日1回5グラムを就寝前に摂取するのを目安とするとよいでしょう。

人間の体内で重要な役割を果たすアミノ酸であるグルタミンを摂取して、筋力トレーニングに役立てましょう。